投稿者 ダンス!ダンス!!ダンシィ!!! 1999 年 1 月 24 日 02:56:32
その日僕は、フラフラとしょんべん横丁を歩いていた。ふと、めまいを
感じて立ち止まった横には、「若月」があった。たまらず僕は中に入った。
初めて入ったその店は、禁断症状の時だったからこそ入れる様な外観だ。
「ラーメン。」
つけめんに少々惹かれつつも、初めての店では基本を注文してしまう。
出てきたラーメンは、チャーシュー、海苔、メンマが申し訳なさそうに
のっているシンプルなものだった。麺は太麺で、何だかきしめんを彷彿させる。
僕は失敗を予感した。でも、考え様によってはイレブンフーズの意外性を期待
出来るかもしれない。気を取り直してすすり込んだ瞬間、僕は自分を恥じた。
…美味い麺だった。
この喉越しは何だ。いや、それ以前にすすり込んでいる最中の唇への感触。
もっちりとした歯応えと舌をくすぐるような快感、そして飲み込んだ時の
なめらかさ。絶品である。貪るように麺をすする快楽へと身をやつしている僕に
心の悪魔が囁いた。
「つけめんもいってみようぜ。ひっひっひ。」
気が付いた時には、僕はつけめんを手にして呆然としていた。ラーメンを
食べた時には、麺に夢中でスープの印象はほとんど無かった。だが、つけめんは
違う。この強力な印象の麺に対抗できるほど、パワーを持つ味だ。胡麻油の
香りがたまらない。冷水で締めてあることによって、麺の「つるり、ぬるり」と
いう快感は減るかもしれない。だがそれでも僕を快楽の底へと導く。
「ヤキソバとラーメン類の麺は、違うんだよ。」
「ヤキソバはお土産にも出来るよ。」
「つけめんはスープが少ないからね、その分麺が多いんだ。(笑)」
僕は店主の言葉を反芻しながら、店を出た。店外には行列。例え寒い夜でも
心まで暖かくする力がラーメンにあることを、並んでいる人たちも
知っていたのだろうか。
来た時には薄汚く見えたこの路地が、一種独特の光を放ちながら僕を帰途へと
送り出してくれた。
−完ー